尾瀬は雨でしたが、花はやはり素晴らしかったです  by やじろう

 7月12日、突如思い立って車で尾瀬へ向かった。走行距離ざっと700km余、ぼちぼち休憩を取りながら13日夜明けに尾瀬の入り口、戸倉に到着。ちょうど始発のバスに間に合って、それで鳩待峠に上がり、早速至仏山に登ってやろう…と思ったのだけれど、下山時に使う予定だった東面ルートは使用不可と、登山道の入り口に書いてある。
 
 不審に思って鳩待小屋に戻り、そこの職員に確認してみたら、東面ルートは下山時の事故が多いので、登り専用ということになったらしい。自己責任で降りては駄目か重ねて尋ねたが、「だめ、もしパトロールに見つかれば怒られます」とのこと。

 では仕方がない、実は、いろいろ個人的理由があって、この至仏山東面登山道を下ることが今回の最大の目的だったのだが、そのもくろみは一瞬で実現不能となたった。とあれば、まあ、鳩待峠からピストンする以外に選択肢はない。

 出鼻をくじかれ、天気も曇り空でガスが濃い。なんとも意気の上がらない登山になりそうだが、とにもかくにも歩き始める。そんな事情でこの日から3日間、天気はさっぱりだったのだが、やはり尾瀬は日本の自然の白眉というべしで、雨にけぶる尾瀬ヶ原も花も素晴らしかった。


登りはじめはこんな感じ

ミツバオウレン

ゴゼンタチバナ

少し見通しがよくなってきた

キバナノコマノツメ

そしてお目当てのホソバヒナウスユキソウ。この至仏山谷川岳にしか生息しない希少種だが、いまが最盛期らしく、思う存分たっぷり見られた。 

ミヤマダイモンジソウ

到達した…と思ったらひとつ手前のピーク「小至仏山」。本峰までは、まだかなりの距離がある。

そしてようやく至仏山、登りはゆっくり歩いてちょうど3時間だった。同じ道を2時間で下って鳩待峠に戻り、さらに1時間の下りで尾瀬ヶ原の入り口、「山の鼻」に達して投宿。

翌14日はしっかり雨。とはいえ、雨の尾瀬もそれなりに雰囲気があっていい。

カキツバタ、よく似たヒオウギアヤメとは、花弁の模様で区別できる。

ノアザミ

オゼコウホネ。ビジターセンターの話では広大な尾瀬ヶ原にまだ3輪しか咲いていないという。うち1輪を発見し、降りしきる雨の中、ストックを支えに使っての執念のデジタル望遠で撮影。よく手ぶれしなかったものだ。

定番のビューポイントからのニッコウキスゲ至仏山

振り返れば、燧ヶ岳が雲からわずかに頭を出していた。

ニッコウキスゲの大群落と至仏山。…という写真だが、実は、群落と呼べるほどの花盛りはここだけ。ニッコウキスゲはまだ少し早かったようだ。

遙かな尾瀬、その果てに東北最高峰の燧ヶ岳。アヤメ平からの展望。

この日は竜宮から長沢新道を経由し富士見小屋で泊まった。その富士見小屋では毎晩7時半にヤマネがやってくるという。それを待ち構えて撮影したのがこの二枚。ストロボなし三脚なしのデジタル望遠ではこれが限界だったが、よく時間を間違えずに現れるものだ。皿の上に置いてあるのは蜂蜜を塗ったバナナ、ヤマネの家族で一晩に1本をきれいに平らげる。



翌15日も雨、尾瀬沼を回って三平峠から大清水に下るか迷ったが、この天気では燧ヶ岳も望めそうにないので、アヤメ平から鳩待通りを黙々と歩くことにする。だが、雨でもアヤメ平はやはり別天地だ。山霧にかすむ池塘、そして咲き競う花が素晴らしい。この写真はアカモノ。

ツバメオモト

ウラジロヨウラク

ワタスゲが夢を誘う。

花を楽しみながらゆっくり歩いて正午前に鳩待峠に帰着した。満足したけれど、また帰りの運転が大変だにゃぁ…